機本伸司の小説
立て続けに2冊読んだ。終末を先に、続いて神様のパズル。
どちらも奇想天外なアイデアで面白かった。
神様のパズルは今年映画封切りだって、、、観に行かないけど。
ストーリーの紹介はめんどうなんではしょるけど、メインの登場人物の男性視点で語られる話。
最近、一人称視点が流行なんですかね。
そして彼は人格的には可もなく不可もない没個性的性格。その代わりにヒロインはちょっと変わりもの。
「終末」では宇宙船建造、「神様」では大型加速器建設プロジェクトとゼミ研究の宇宙創造の試みが大きな軸になってる。
これらの進行を読者が追っていきながら楽しむのがこの小説たちの醍醐味。
どちらも大きなプロジェクトを背景に、人物もそこに投じて風景の一部にするような映像的な小説だと思う。
そういう演出を意識して書いてるような部分は結構多い。
その辺は自分なりにイメージしながら読むといっそう面白い。
ただ、どちらも人物描写の造形には乏しいように感じた。
どちらの作品も若い男女なんだけど、描いてるのは友情か?恋愛か?いまいち作者の意図がつかめない。
サブの登場人物に至っては、もともとよく見かけるステレオタイプな登場人物が多いうえ、主人公たちへの絡み方が中途半端なんだよな。
行動には普通は動機がつきものだけど、何でそこにいてそういう行動を取ってるのか分からん人物が割といる。
ただしこうした人物たちは組織の中の技術者なり学者なりといった立場で描かれると、とたんに生き生きとしてくる。
話が大きく動くのもプロジェクトの事故とか個人では手に負えない事がきっかけだったりする。
ただ、SF小説としてもラブストーリーとしても何か煮え切ってない感じがする。
アイデアと小説最初の方のつかみは最高に引き込まれるんだけど。
200ページ辺りでギブアップ。
台詞の半分が「なぜ?」「どうして?」としか言わない男と、ヒロインの独善的な1人しゃべり。
おまけに微妙に噛み合わない会話と、「まあ、そんなことより」で何故か強引に進んでいくストーリー。
文章はやさしいが個々のシーンの描写が乏しく(前作でもこれには触れたが)、今回は何かもう後の展開とかどうでもよくなってしまった。